論評:「アップライトとグランドピアノのメカニック調整」ヨーロッパ雑誌ユーロピアノ(EUROPIANO)

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ユーロピアノ
第1版、2004年

カール-ヨーアン・フォッシュ著

「アップライトとグランドピアノのメカニック調整」
ページ数:570頁
フォーマットサイズ:24cm
発行元:PPV メディアボチンスキー出版
本体価格:€ 86.00

カール-ヨーアン・フォッシュ著の「アップライトとグランドピアノの修理」に続き、「アップライトとグランドピアノのメカニック調整(ドイツ語版)」が発売された。ドイツ語によるピアノ技術書は、これまでにも修理・メカニック調整・調律・構造などの様々なテーマについて時代に適合させた新しい考え方で表現された著書が多数あり、それらの中から必要なものを選択することができる。それにもらず、ピアノ技術指導者としてノルウェー・スウェーデンで活躍しているフォッシュ氏は、それらの著書をより完全なものにしようと試みている。

「ピアノの歴史」・「ピアノの技術的・物理的理論」・「ピアノの構造・及び製造理論」などは今までも繰り返し記されているが、「包括的・教育学的な基礎知識」 ・及び「熟練性」
という点では旧態依然であること多い。その点、フォッシュ氏の著書は長年の経験を通して基礎知識を適切に表現することに成功している。

フォッシュ氏の「アップライトとグランドピアノの修理 」・「アップライトとグランドピアノのメカニック調整」・「アップライトとグランドピアノの調律」は、合計1500ページを超える力作である。3教本共に、各章末尾に練習問題が用意されている。3教本の中では、ピアノ技術者として修理や定期調律・調整などで行な[/wpcol_1half] [wpcol_1half_end id=”” class=”” style=””]わなくてはならない様々な作業を最小単位の作業工程で丁寧に説明している。特筆すべきは、しい数の写真と図解によっても明解にしている点にある。

熟練したピアノ技術者が広範・且つ要求の多い専門分野を極当たり前にえている事柄であっても、研修生のためには判り易い表現を選ばなくてはならない。

その点では、長年の授業経験に裏打ちされたフォッシュ氏の3教本は研修生でも理解しやすい内容になっているので、読者が抱く多くの疑問も適切に解決することができる。ピアノという高価な楽器を演奏者が望むような芸術的表現が得られるような状態にするために、ピアノ技術者には熟練した高い技能が要求される。それらの要求に応えるためにも、フォッシュ氏の3教本は極めて価値がある。

研修生は技術マニュアルばかりに夢中になり、ピアノに対する科学的分析を怠ってはならない。その点、ドイツのピアノ技術者研修制度は長期的研修の中でもピアノに対する科学的分析(理論)や作業(実技)が単調にならないように極めて良く工夫されている。研修者自身が実技を通して様々なピアノ技術を体験することで科学的に分析したり、様々な調整法を習得したり、職場でマイスター(指導者)やベテランピアノ技術者の技術を肩越しに見ることで学習したり、ピアノに対する諸規定を学ぶことなども重要である。ピアノ技術者・及び研修生は、それらをかにしてはならない。

それらのことを真剣に学んだ後には、理論的・実技的知識と新たな方法(道)を見出すことができるだろう。その点でも、フォッシュ氏の3教本はピアノ技術者・及びピアノ演奏者ために大いに貢献していると思われる。

ヤン・グロースバッハ
(Jan Großbach)[/wpcol_1half_end]

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